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ルミナスアークver1.5 冬 -シリーズプロデューサー水谷英之-

戦いってなんだろう。

『ルミナスアーク』が終り、シリーズ化の話がでた時に初めに考えたことでした。
戦いが始まらないと、残念ながらRPGは始まりません。
戦いこそがこの新作の世界そのものになるからです。

現実の世界では、歴史上、戦いのないときなどなかった、との話しもありますから、RPG以上にRPGが適しているのがこの世界の事実なのかもしれません。

戦いとは結果に過ぎず、戦いにいたる理由こそに本質があります。

わたしとあなた
それをとりまく世界


わたしを写すものがあなたならば、世界はなにを写したものか。
旅する中で、自分を写す鏡のあなたをいくつもつくろう、と思いました。
他者は自らの鏡かもしれないし、実像であり、鏡ではないかもしれません。
前作同様にボーイ・ミーツ・ガールをはじめられそうな気がしてきました。
もう一度、魔女と騎士と世界の戦いを始めたくなりました。

ここから先に掲載させていただく文章は、ゲームショウで配布させていただきました、「Luminous Book」に掲載した、ルミナス⇒ルミナス2にいたる過程の物語です。
今回から、自分の回に3回にわけて掲載させていただきます。
多少なりとも、ルミナス2を楽しむためのガイドラインになっていただければ幸いです。


ルミナスアークVer.1.5

ルミナスアークのシリーズ化が決定しました。ルミナスは1から2へ進化を遂げようとしています。何処に向かい、動き始めたのか。シリーズ1作目の成り立ちから、2へといたる狭間をうめる制作ライナーノート「Luminous Arc ver1.5」。その進化のミッシングリングをお贈りいたします。
シリーズプロデューサー 水谷英之


ルミナスの冬
冬はあまり好きではありません。
寒さが苦手なせいもありますが、
夕方が短いせいではないかと思ったときがあります。
曖昧な時間が好きなのかもしれません。
しかし、今年の冬は、嬉しい、楽しい冬でした。

2007年2月8日『ルミナスアーク』は発売日を迎えました。
その日から、いや、それ以前から、次なる挑戦が始まっていました。
それが『ルミナスアーク2ウィル』です。

前作は8月の情報の初出から、マスターUPまで、夏が過ぎ、冬が過ぎていきましたが、開発現場は常に変わらずに不夜城と化していました。
夜が子供を成長させ、歴史が夜つくられるがごとく、ソフトは夜中に創られていきます。
自分たちがみなさまにお届けした“ルミナス”という小さな灯火を大きな輝きにするために、
全ては常に始まりの状態にあるのです。

挑戦し続けることは、始め続けることです。
完成を目指しつつも、始めることを何よりも重視して、“ルミナス”のスタッフとシリーズ構想は動いています。まず “ルミナス”らしさとはなにかという命題があります。
シミュレーションRPGは通常のRPGよりもルールとしての概念が重要です。
そこにいかに物語が注ぎ込まれていくのか、そこがRPGとしての肝でもあります。
RPGとの最大の違いは、仲間になるユニット数及び、バトルがフィールドでおこなわれるというステージの存在です。この2つの事項に対していかに挑戦していくかによっては、RPG以上に、物語が想像力を生み出し、より強いシンパシーを生み出す力をもっていると信じています。最初の難関は、ともかく、仲間になるキャラが通常のRPGと比較にならないほど、相当に多いことです。そのひとりひとりに物語を生み出す力をあたえる大きな枠組みの世界観はなんなのか?ということでした。
しかし、その点に迷いはありませんでした。

シリーズの始まりは、魔女をその大きな枠組みとすることで固まりました。
魔女とは何なのか?すべからく、全ての物語はボーイ・ミーツ・ガールに行き着きます。
そして、そんなボーイ・ミーツ・ガールの挑戦すべき相手として、魔女とはいかにもふさわしい気がしました。魔王はいますが、魔男という、言い方はありません、性別ではなく、クラスみたいなものです。魔女とは性別に対して明確な言葉です。

人の歴史は何故魔女を生み出したのか?人を巡る、世界の真実のひとつがそこにはある気がしました。自分の考えるボーイ・ミーツ・ガールとは、少年は少女と出会った数だけ世界が生まれるというものです。少年にとって少女とは世界そのものなのだと思います。その先にある他者と戦う物語がこのシリーズの戦いにふさわしいと考えました。
それは物語の王道を目指すこととなります。
捉えようによっては時代性にリンクしないものになる、その危険性をキャラクターの性格、配置にアレンジを加えながら、太い筋をもちながらも繊細な気配りにより、より強力で新たな王道が生まれるのではないかと考えました。

音楽の話になってしまいますが、力強いリズムをベースにしながら、美しいメロディを奏でる、そんな音楽はロックともポップスとも呼ばれていますが、自分は最強だと思っています。そんな音は、時代を何年経ても古びることはなく、むしろ輝きをましています。
全体を通す、リズムが太く、力強くなければ、物語も輝かないと思います。時代にリンクするのではなく、時代を超えることができたらどんなに良いでしょう。それは、作り手の夢なのだと思います。
それこそが王道への挑戦です。
ゲームを作っていると、むしろ他の好きな趣味や嗜好が考える指標としてでてきます。
ゲームは総合力です、そしてゲームはユーザーが最終的なクリエイターです。プレイされ、ゲームはその制作物としての完成をむかえます。終わって始めて、ゲームなのです。
開発とは、様々なものがゲームという器におさまる過程なのでしょう。
魔女というモチーフはコンセプトの始りにすぎません。ゲーム性は全体コンセプトを受け、オリジナリティを求める企画へと昇華していきます。

1作目でやりきれなかったことも多くありました。
再び、輝くその日を夢見て、スタッフの挑戦は始ったのです。

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タイトル: ルミナスアークver1.5 冬 -シリーズプロデューサー水谷英之-
投稿日: '07/12/08 - 20:11
カテゴリー: General
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