10/23発売「ジャンプSQ.RISE 2020 AUTUMN」に掲載しているライブラメンバー4名の座談会より、本誌には掲載しきれなかった「未掲載トーク」を特別に紹介します!!
レオナルド・ウォッチ:百瀬朔
クラウス・V・ラインヘルツ:岩永洋昭
ザップ・レンフロ:猪野広樹
スティーブン・A・スターフェイズ:久保田秀敏
―― まずは初めに『血界戦線』という作品についての印象をお聞かせ下さい。
久保田:舞台に参加させて頂くことが決まって、まずはアニメを見たんですけど……「これはヤベェな!」というのが率直な感想でしたね(笑)。
岩永:確かに(笑)。
猪野:「どうやってこれを舞台化するんだ!?」みたいな(笑)。
百瀬:舞台のお仕事が決まったことを家族に話したら、親と兄が『血界戦線』のアニメを知っていて…。なので最初は僕よりも家族が喜んでくれてましたね。
岩永:最初に感じたのは、とにかく「カッコいい」作品だなと。僕も最初はアニメを見させて貰ったんですけど、オープニングの映像と楽曲から作品の世界観に引き込まれてました。作品を構築している要素がすべて、とにかくカッコよくてオシャレだなと。
猪野:僕は原作漫画を最初に読ませて貰ったんですけど……「え? 紐育ってこんな漢字を書くんだ!」って初めて知りました!
一同:(大笑)。
猪野:まぁ、それはおいておいて(笑)。いまヒロ(岩永洋昭)さんも仰ってましたけど、とにかくオシャレだし、それと…散りばめられている伏線というか、情報量が凄いじゃないですか。
久保田:確かに。
猪野:そして、それらが特に説明されないまま通り過ぎて行っちゃったりすることにビックリしましたね(笑)。きっと色々な設定があるんだろうけど、あえて全部を説明しないところに興味を掻き立てられるというか。読みながら「血界の眷属(ブラッドブリード)って、マジで最強すぎない? こんな奴らどうするの!?」みたいに、どんどん疑問が湧いてきて(笑)。
百瀬:読み込めば読み込むほど、謎が深まっていったりするよね。
猪野:読んでいて、とにかく早く答えが欲しくなる作品です(笑)。たくさんある設定の中の一つでもいいから「早く真相を知りたい!」なんて思っちゃいますね。
久保田:僕個人の感じ方ですが、変に読者のウケを狙っているんじゃなくて、とにかく内藤先生が媚びずに自分のやりたいことを好きにやられているような作品なのかなと。登場人物やアクションの描き方、物語の展開を見ていても、無理にターゲットを絞っていないような印象を受けました。
―― これだけのスケール感を持った作品を舞台化するという事については、どう思われましたか?
岩永:……いやぁ(苦笑)。
猪野:もう、全然想像もつかなかったですよ。
久保田:僕は、まずは出来そうなことから…とりあえず「股割り」から始めようかなと。
一同:(大笑)。
久保田:自分が演じることになるスティーブンは足技で戦うキャラクターですからね。原作ファンから苦情が来ないように、足はちゃんと上がるように準備しておこうと(笑)。スティーブンの氷を使った技の表現は、映像の技術や西田(大輔)さんの演出プラン、アンサンブルの皆さんの協力もあって忠実に舞台上に再現されているのに、僕のお芝居が足を引っ張っていては意味がないですからね。
猪野:技を出すたびに紙吹雪が舞う演出はズルいっすよ。
百瀬:あれはズルい。
久保田:確かにね(笑)。
百瀬:スティーブンて、原作ではそれほどたくさん台詞があるようなイメージはなかったんですけど、いざ舞台が始まってみたら実はめちゃくちゃ喋ってるんですよね。
久保田:台詞量はなにげに多いよね(笑)。
百瀬:舞台の脚本は原作にある台詞を忠実に拾ってるので台詞量は変わってないはずなんですけど、スティーブンに関しては意外でした。
久保田:だからなのか、稽古で僕が台詞を喋りだすと「長いぞ!」みたいなヤジが飛んできたり(笑)。
百瀬:別にアドリブなんて何一つ入れてないのにね(笑)。
久保田:ただ忠実に台本の台詞を喋ってるだけなのに「おしゃべり野郎」みたいな扱いをされたりしてましたね(笑)。
―― 皆さん、役作りに関しては、どういうアプローチを取られるんですか?
岩永:こういうジャンルの舞台ですと、僕は「見た目」から入っていくパターンですね。あまりにも姿形がかけ離れていると、お客さんをがっかりさせてしまいますから。なので、衣裳さんやヘアメイクさんの力も最大限に借りて…皆は衣裳合わせとかどうだったの?
猪野:ジャケットの丈については、けっこう話し合いましたよ。ザップはもう少し短いかなと。
岩永:この舞台を見に来てくれるお客さんは色々なファン層だと思いますが、半分以上は原作ファン、アニメファンなんじゃないかと思うので、まずは原作に姿を寄せるアプローチから入ることについては、間違っていないのかなと。
百瀬:容姿を寄せるアプローチから入るのは、僕もそうかもしれないです。僕はこういったジャンルの舞台の場合、最初のスチル写真を撮るときが一番緊張するんですよね。撮って頂いた写真を客観的に見て、そこで初めて役作りのスタートラインに立てるというか。特に舞台『血界戦線』の場合、最初に皆さんの前に公開されたのはレオのビジュアルでしたから、撮影当日は朝からかなり緊張してましたし、撮影自体も相当時間がかかりました。目の開き具合のパターンも試行錯誤しながら…撮影が進んでいく中で、周りからの意見も聞いたりして、最初の取っ掛かりを作り上げていけたりはしましたね。内面については、レオの感情には共感できることが多いですし、自分の考え方からも大きく逸脱したりはしていなかったので、すっと役に入っていけました。
猪野:ザップというキャラクターは自分とは正反対なんですが、ある意味「憧れ」でもあるんですよね。自分は絶対にああいう生き方はできないです。自分とは似ても似つかない人物を演じられるのは役者の楽しさですから、色々と振り切ってすぐに役に入っていけました。役作りの取っ掛かりという話であれば、僕はけっこう「小道具」の使い方から入ったりするんですよ。そのキャラクターが、その小道具を持っている意味を想像して「どういう仕草で魅せようか?」と。ザップならライター、クラウスなら眼鏡なんかもそうですよね。あと言えることとしては、ザップというキャラクターには「やりがい」しかないんですよ!
久保田:素の自分からかけ離れればかけ離れるほど、役者ってやりがいを感じることはあるよね。
猪野:そうなんですよ! 正反対であればあるほど、やりがいも大きい。アドリブも楽しめるキャラですし。
久保田:直後にスティーブンが出ていくシーンがあって…本番ではずいぶんと悩まされたりもしたけどね(笑)。
猪野:違うんですよ! こっちとしては、アドリブやったからにはスベった空気のまま捌けられないんですよ! 何かしらバトンを渡さないと!「このままではクボヒデに申し訳ない!」と思って…愛のあるパスなんです。
久保田:(笑)。
―― お客さんとのコミュニケーションは、舞台上でパッと思いついたりするんですか?
猪野:そうですね。上手いこといくつか使えそうな手が見つかったら…ストックしておいたりします!
百瀬:そんなことまでバラさなくていいのに(笑)。
猪野:良さげなのが見つかれば、もうウキウキで(笑)。
久保田:今回の舞台の場合は、幸いにも役作りのとっかかりの一つとしてアニメがあったんですよね。アニメで声をあてられていた宮本充さんの声と、自分の声のトーンも近いところにあって。スティーブンは服装も一般的ですし髪型が派手なわけでもない、それじゃあ何が寄せられるのかと考えた時に、声かなと。視覚だけじゃなくて聴覚でもお客さんを刺激できれば、より世界観に没入してもらえると思ったんです。公演後にお客さんの感想を聞いても「スティーブンが舞台上に存在してた!」なんて嬉しい声を頂いたりしたので、そのアプローチは成功したんじゃないかと思ってます。声優さんの役に似せて演じることが必ずしも正解というわけではないですが、『血界戦線』のスティーブンに関しては、宮本さんの演技をかなり参考にさせて頂きました。
猪野:ザップの台詞も、中井和哉さんの演技を参考にさせて貰ったりはしています。先に一つの形が出来ているので、そこから無理に離れてしまうのも違うのかなという思いもありますしね。ただ、同じ台詞でもアニメと舞台では状況や間が違ったりしますから、そこは自分なりの解釈で演じるようにはしています。
―― 役を演じるにあたって、苦労された思い出などはありますか?
久保田:思ってた以上に、アクションが大変だったなと(笑)。
猪野:ザップとしては真胎蛋のくだり……ただ、それだけです…。
一同:(苦笑)。
猪野:…もう、振り切って演じるしかなかったですから。舞台で上半身、裸になる経験も初めてでしたし。
久保田:なかなかないよね(笑)。
猪野:ないですね。ただ、ザップならそうするだろうという思いがあるので、抵抗はなかったです。苦労した思い出だと、稽古で殺陣をやっていて、実際に本番で使う焔丸を手にしたら意外と重くて(笑)。振り回してると肩を壊すんじゃなないかと不安になったりしてました。(舞台で使用した焔丸は)光ったりして、凄くカッコいいんですけどね。
百瀬:導入シーンはレオの台詞量が多いんですが…「噛んじゃいけないな」というプレッシャーはありましたね(笑)。初歩的なことなんですけど、最終的にはやっぱりそこに立ち返るというか(笑)。特に冒頭の台詞は、舞台の世界観を説明する重要な役割だし、お客さんがその舞台に入っていけるかどうかという大切なシーンですからね。基本的に(演出の)西田さんは役者の自由にやらせてくれることが多いんですけど、オープニングの台詞だけは、できるだけゆっくり時間をかけて喋って欲しいと言われました。「まだいける、もっとゆっくりと!」って(笑)。意図としては、お客さんがいきなり置いていかれないようにするためだと思うんです。ただでさえ第一幕はエピソードが詰め込まれていてシーンも目まぐるしく変わっていくので、なおさら「入り」については重要視されたんじゃないかなと。
岩永:クラウスは、諱名を覚えるのを苦労したくらいで…他のキャラに比べても、動き自体はそれほど激しいわけではなかったですからね。ただ、物語の重要なシーンに出てきて、最後にキメるという役柄なので、そこについては気を付けて演じようと心がけていました。
―― 演者の皆さんから見ても、頼れるリーダー像であると?
猪野:もちろんそうですよ!
岩永:舞台の上だけではね(笑)。舞台を降りたら…。
一同:(大笑)。
猪野:気さくなお兄さんです!
―― 初演について伺います。上演を重ねていくうちに、何か変化が起きたことなどはありますか?
久保田:脚本は同じですから大筋に変化は無いです。ただ、何度も演じていくうちに演者同士の呼吸もわかってきますし、回数を重ねることで成熟していった面はあるかもしれません。どうしても初めは台詞の事がまず頭にあって、とにかく台詞を間違えないようにしようという思いが強かったりするんですが、徐々にその比率が低くなってくると、いかに舞台上で「生きられる」か…リアリティを出せるかということについても考える余裕が出てきます。自然な呼吸で台詞が喋れるようになるので、お客さんにもより届くようになるのかなと。
猪野:余裕が出てくると、日に日にアドリブが長くなっていったりはしたかもしれないですね。その分、スベってる時間も長く…。
百瀬:そうですね。
猪野:そうですね!?
―― 特に強く記憶に残っているザップのアドリブはありますか?
百瀬:スベりに巻き込まれたやつは、まったく記憶に残ってないです!
猪野:でも(岩永さんと久保田さんを見渡しながら)こっち側に投げるぶんには、そんなにスベってなかったと思うよ? サク(百瀬)に振ったら、なんか妙にスベるんだよ。
百瀬:それは申し訳ない!(笑)
猪野:まぁ、クラウスとスティーブンはキャラ的にもズルいからね!
久保田:ズルくないって(笑)。
猪野:ちょっと崩すだけでも面白くなってウケるんだもん…。
岩永:でも、クラウスはけっこう応えてあげたじゃん? (手を小さく振りながら)こういうのとかさ。キャラから逸脱せずにクスッとお客さんを笑わせる…稽古場ではそんな事、一度もやってませんからね。当日のぶっつけ本番で、そこにお客さんの反応も加わって…舞台の面白さですよ。そういうライブ感を楽しみにしてくれるからこそ、何度も観に来てくれるファンもいるんだと思います。
―― ちなみに、お互いの役をご覧になられて、どういう感想を持たれますか?
猪野:クラウスに関しては「THE・男!」って感じですね。
百瀬:岩永さん、役とけっこう近いと思いますけどね。稽古の時から、すでにクラウスのイメージがダブって見えてましたし。
岩永:…否定はしないね(笑)。
猪野:ザップをやってると、どうしてもレオなんかはいじりやすいイメージにはなっちゃうかも。
岩永:そもそも、そういった役者のイメージも加味してキャスティングして頂いてるんだとは思いますけどね。ビジュアルだけでなく、内面までキャラと似ていそうだと思われてるのかなと。そういう意味では、自分と正反対の役をきちんとこなしてるザップは偉いよ。プロなんで当たり前のことなんだろうけど、照れたりせずにきっちり出し切ってるし。見てて少し羨ましいなと思うくらい、僕もザップを演じてみたいなと思わせられましたから。「自分ならここはもっと激しめにいくかなぁ」とか。
猪野:じゃあぜひ、ご指導ご鞭撻のほどを…。
岩永:いやいやいや(笑)、でもやっぱりそれはね、加減ってものがあるから。広樹のザップはカッコいい殺陣にしろ、笑いにしろ、バランスが取れてて凄いと思うよ!
猪野:21公演中に一回でも大爆笑が取れれば「それで本望!」みたいなところもありますけどね…。
百瀬:言うほどそんなに激しくスベったりすることはなかったと思うけど(笑)。
岩永:僕なんかは逆に、あのシーンとなってる感じも好きだけどね(笑)。
―― 普段の久保田さんはどうですか? 今日の取材でも、スティーブンっぽい理知的なイメージを受けましたが。
岩永&百瀬&猪野:(じっと久保田さんを見る)
久保田:…はい、こんな感じでございます。
猪野:でも、スティーブンっぽいというか…普段から「胡散臭い」ですけどね。
久保田:(笑)。スティーブンの演者としては、ちょっとそれは嬉しい言葉かも。
岩永:「胡散臭さを」舞台上で出したい…なんて言ってたけど、十分出てたよ。パーティーのシーンなんかも舞台袖から見てて思ったもん。
―― スティーブンといえば「男の色気」ですけど、それもバッチリ…?
百瀬&猪野:(小声で)出てます…出てますよ。
岩永:これまで何人の女性を泣かせてきたのやらってね(笑)。…え? 事務所的にNGですか?
久保田:(焦って)僕自身は、そんなプレイボーイなキャラじゃないですから! ちょっともう…噂って怖いんですよ!? 一度ついたイメージってなかなか拭えないんですから! (ダメ押ししながら)…ホントに違いますからね!!
一同:(爆笑)。
久保田:…でもまぁ、舞台上で色っぽく見えたのなら、それは照明さんのおかげですよ。
岩永:いやいや。
―― 印象に残る共演者の方はいらっしゃいますか?
岩永:みんな素晴らしい役者さんですけど、個人的にはトビー役の丹澤誠二さんが印象に残ってますね。舞台でトビーを演じていたかと思えば、そのままの流れでサックスを奏でだす…あれはちょっと、カッコ良すぎる! ミシェーラの歌のシーンの前には、ちょっとしたギャグを挟んでお客さんを笑わせていたりね。
―― ご覧になられていて、「舞台上で自分でも楽器を弾いてみたい」なんて思いも?
久保田:広樹は稽古中に習ってたよね、サックス。
猪野:そうですね、「音が出せるだけでも凄いよ」って褒めてもらいました! …まぁ、まったくモノにはなりませんでしたけど(笑)。
岩永:僕もギターなら少しは弾けるんですけどね。
百瀬:じゃあ次の公演ではクラウスがギターを弾いたり?
猪野:いいじゃないっすか!
岩永:求められれば弾くよ? クラウスってどんなギターが似合うんだろうね? エレキかな?
猪野:ウクレレとか。
久保田:あんな巨漢なのに?
百瀬:キャラから遠くない!?
岩永:それはそれで可愛いかもしれない(笑)。
猪野:僕が印象に残ってるのは、Dr.ガミモヅ役のヒデ(佐々木喜英)さんですね。あの人はもう、なんか纏ってるオーラが違ってて…殺陣のキレも完璧で、ラスボスに相応しすぎました!
百瀬:僕は殺陣の経験がほとんどなかったので、けっこう指導してもらいましたね。避け方ひとつとっても的確なアドバイスをして頂けて、動画を撮ったりしながらマンツーマンで教えてもらいました。第二幕では一対一でやりあうシーンも多かったんですが、もうまったくミスされないんですよ! 安定感が凄くて、完全に信頼してお芝居をさせてもらいましたね。
久保田:K・K役の安藤彩華さんとは、お芝居の呼吸を合わせるために、稽古場だけでなく終わった後の帰り道まで色々と話し合ったりしましたね。不仲のように見えて、実は一番息があってるんじゃないかと思えるコンビですから。最初の合わせるアクションシーンは大変でした。お互いに別の殺陣をやりながら、スッと背中合わせになるような立ち回りがあったり…おかげさまで、いいコンビ感が出せたと思っています。
猪野:やり取りの多い芝居相手とは、色々と話し合う機会も相対的に増えますよね。
百瀬:猪野ちゃんも、細かいところの調整とか、澄也さん(ツェッド役・伊藤澄也さん)と話し合ったりしてたもんね。
猪野:試しに一度、そのままでやってみて…その後で話し合ってすり合わせていったりはしてた気はしますね。
―― そういった役者同士のディスカッションの中で、印象に残っているやり取りなどはありますか?
猪野:僕は稽古中に萩さん(ギルベルト役・萩野崇さん)に言われたことが印象に残ってますね。
岩永:なんて言われたの?
猪野:ギルベルトはもちろん、クラウスやK・K、スティーブンと、ライブラのメンバーって「落ち着いてる」キャラクターが多いじゃないですか。だから最初は、ザップが悪目立ちしすぎるんじゃないかと不安になって「もうちょっと抑えめの方がいいんですかね」って相談したんですよ。そしたら萩さんが「広樹…“抜群”という言葉は“群を抜く”って書くんだ。抜群な芝居を目指すなら、時には周囲に合わせなくてもいいんだよ」って仰って。その言葉を聞いてから吹っ切れましたね。
岩永:萩野さんは、キャストの中でも最年長だし、色々と舞台全体を見てくれてる印象はあるよね。僕も共演自体はそれほど多くないんだけど、プライベートでご一緒させて頂く機会が多くて。プライベートだと、けっこうバカなことを言ったりするような面白い人なんですが…役者をやってる時の顔とのギャップがまた魅力的なんですよ(笑)。僕の勝手な持論なんですが、役者って、ちょっと変わり者なくらいのほうが良い芝居をする人が多い気がするんですよね。少しどこかネジが外れてないと出来ないのかもしれない。例えば、仮に親しい人が亡くなったその日に、バカなことやって笑わせるお芝居をしなくちゃけなかったりするわけで…そりゃあ、世間一般の感覚からはズレますよね…褒め言葉ですよ!
一同:(笑)。
―― では最後に、舞台『血界戦線』のファンに向けて、メッセージをお願いします。
岩永:こういう情勢のなか、自分たちに出来ることを精一杯やっていくつもりです。役者もスタッフも、前回よりもブラッシュアップしていきます。新しくキャストや演奏者も増えることですし、比べるわけではないですが、気持ちとしては前回公演を超えるものを創り上げていきたいなという思いです。無事に上演できて、お客さんにも「良かった」と喜んでもらえるよう頑張りたいと思います。
久保田:こういう状況下でも演劇をやれることは、僕らにとってとても幸せなことです。キャストやスタッフが頑張るだけでは乗り越えられない…お客さんも協力頂いたりして、初めて舞台は成立します。なので、お客さんもこの舞台『血界戦線』を共に創り上げていくチームの一員なんです。制作陣とお客さんが一体となって「上演する権利」を勝ち取っていけたらなと思うので、一つのチームとして、これから「Beat Goes On」という舞台を完成させていきましょう!
猪野:昨年、初演をやらせて頂いて、本当に連日満席で、ありがたいことにこうして第2回公演を迎えることができます。新しい仲間も増えて…ただやっぱり、世の中が平和じゃないとエンタメって出来ないんだということも肌で感じています。なので、前回の公演が、かつての平和の上に成り立っていたのなら、今回の公演では、さらにその平和の段階をこの舞台をやることでまた一つ上に押し上げていけたらと……言ってること、わかりにくいですかね…?
百瀬:…ちょっとね(苦笑)。
猪野:まぁ…つまりは…皆さんのプラスになればいいかなと! 演劇界的にも世の中的にも! ……僕、好きな歌詞があるんですけど、「音楽は誰の明日にもなれない、だけど明日を生きる貴方に希望を与える存在にはなれる」みたいな感じの…そういう気持ちで公演に臨みたいと思います!
百瀬:なんの曲からの引用なの?
猪野:ちょっと…きちんと正しい歌詞かも思い出せないんで…僕の言葉だということにしといて下さい!
百瀬:前回公演もたくさんの方に見て頂けたんですが、第2弾公演をやるからには、前回を超えるものじゃなきゃいけないとは思っています。個人的な感想なんですけど、今作の舞台って前回の内容よりも明るいエピソードが増えているので、全体のテイストとしてはポップなものになると思うんですよ。そして、それぞれのキャラクターに、よりフォーカスがあたるようになってもいるので、『血界戦線』のキャラクターのファンの皆さんには楽しんで頂けるんじゃないかと思います。物語の構成的にも入りやすくて、前回公演を見ていない方でも楽しめる舞台です。新しいキャストに負けないように、僕らも舞台を押し上げていけるように、頑張って稽古しますので、よろしくお願いします。
Beat Goes On公演の見どころなどは「ジャンプSQ.RISE 2020 AUTUMN」に掲載しています。本誌とあわせて座談会をお楽しみ下さい!