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応援コメント第七弾

王雀孫

Profile
ネーブル所属のゲームシナリオライター。
代表作は、PCゲーム『それは舞い散る桜のように』『俺たちに翼はない』
おれつばではアニメやドラマCDの脚本、ラジオ番組の構成なども務める。

 一時期ウェブで、アフリカ諸国の画像に群馬県というテロップを置く遊びが散見されましたが、ぼくはそのたび『人類は衰退しました』に描かれる未来の地球を想起したものです。
 いや、物語の舞台クスノキの里に、未開の地グンマーとの類似性を見出したとか、そういう失礼な話ではなくね?
 既読の方には今更ですが『人退』は、はるか未来のお話。表題のとおり人類は衰退し、かつて積み重ねられてきた知識や技術もすでに失われて久しい、というメルヘン版北斗の拳みたいな世界です(大雑把)。
 ここで本編より一部引用させていただきましょう。

>電子情報時代の情報ほど確実性に乏しいものもありません。
>一時は盛んにサルベージされていたようですが、
>あまりにも不毛な作業だったため今では誰も見向きもしていない分野です。
>なんせ嘘だらけ。
>情報言語学には手を出すな。
 さもありなん。たしかに未来の歴史家たちは、2chのまとめサイト等にさぞかし混乱させられることでしょう。
 たとえば↑のような「さもありなん」的おかしみを堪能できるのが『人類は衰退しました』の魅力であります。良質の児童文学がごとく、ゆるかわコーティングされた行間のシニカルな諧謔を、アニメでも味わえることと期待しております。

 追伸。第二巻収録『人間さんの、じゃくにくきょうしょく』における、主人公の認識力低下にともなう主観の変化を描写したロミオっち先生の筆致が最高に神がかっていて、個人的にもっともお気に入りの話なのですが、これ上手いこと映像化してほしいなあ。マーベラス!

応援コメント第六弾

日日日あきら

Profile
ライトノベル、一般文芸、漫画原作などでお仕事しております。
公式HP「あたしら憂鬱中学生」http://id37.fm-p.jp/213/atashira/
ガガガ文庫にて『ささみさん@がんばらない』シリーズ執筆中。

 こんにちは。日日日です。
 ご本人と面識もないのにこんなコメントなんか書かせてもらっていいのかなとも思いましたが。いいんだ。すきだから。
 僕は多分おおくのひとたちとは逆に「人類は衰退しました」を読んでから、ロミオさんの執筆されたゲームのシナリオなんかを追いかけ始めたにわかファンですけれど。毎回読むたびに思うのは、ちゅうちょねぇなぁ、ということです(方言のよ うだ)。
 それはときどきブラックすぎて心のやわこい部分をえぐりぬく作風もそうですし、何よりもひとつの文節のなかにこめられた技巧と語彙と新しさの数々…。  ひとつひとつの表現が、僕なら一冊資料読んでよーやく見いだせるような煌めきで、そんなのが容赦なく絨毯爆撃のように網膜に飛びこんでくる。そして打ちのめ されるのです。おお、美しい花火だって人間にぶちこめば立派な兵器なのです(何だそれは)。
 まぁそんな感じにのんきに歩いてるふうに見えてこっちは本気ダッシュしないと追いつけない、ハンター試験みたいなロミオさんの「人類は衰退しました」、くりえいたあのはしくれとしてもし自分がこんな爆弾任されたら絶対やですが、死にたくないので逃げますが、アニメの方々がこの難物をどのように料理してくれるのか、いちファンとしてすっごく楽しみです。
 ひとつだけ何か言えるとしたら、可愛く見えるけど、本気で戦えばパンダは鬼強いのだから、「可愛い」だけをとりだすようなことはしないでね。アニメのひと。絶滅しちゃうぞ?
 いいやこの場合は、衰退でしょうか(米笑)。

応援コメント第五弾

弓弦イズル

Profile
小説家・ゲームシナリオライター。
2009年『IS<インフィニット・ストラトス>』で小説家デビュー。
同作は2010年1月、アニメ化され、現在原作小説7巻、コミックス2巻まで刊行中。

田中ロミオ様へ。アニメ化おめでとうございます。

えーと、「人類は衰退しました」はどんな作品かというと、
花咲くように華やかで、彩るように色があり、季節は羅刹を乗り越えて、
あなたと彼方を結ぶゆく、傷より深き絆の物語——というような作品です。
まあ、私の説明はいいのでぜひ読んでください。

『鬼才、田中ロミオが描く、新・文学エンターテイメント!』

そっと、君に寄り添う物語。
きっと、神より優しい夢語。

応援コメント第四弾

鋼屋ジン

Profile
ニトロプラス所属のゲームシナリオライター・小説家。
代表作は、PCゲーム『斬魔大聖デモンベイン』『竜†恋[Dra+KoI]』、
PS2『機神咆吼デモンベイン』、小説『装甲悪鬼村正 妖甲秘聞 鋼』ほか。

 たとえば古代の遺跡に思いを馳せてしまうように——過ぎ去ってしまったものは、人の胸を打つ何かが宿ります。郷愁、なのでしょうか? 割れたアスファルトの隙間に咲くタンポポや、蔦に埋め尽くされた廃屋、崩れた天井から差し込む陽の光、うち捨てられたゴミの山……大自然に呑まれていくかつての都市の、ゆっくりと衰えていく文明の、それでもどこか、優しくてあたたかい末世の姿です。

 そんなおだやかな文明の衰退期ですから、メルヘンな妖精さんたちがひょっこりと姿を見せても、何もおかしいことはないのです……きっと。

 ふしぎで、愛らしくて、あと少しだけシニカルな、妖精さんたち……新人類と、にんげんさん……引退してしまった旧人類との、楽しくてのどかで、どこかなつかしい物語。それはお菓子で彩られた、甘やかな黄昏の光景なのです。

 ——というわけで『人類は衰退しました』アニメ化おめでとうございます。これでまた『楽しい度』うなぎ登りですね?

応援コメント第三弾

東出祐一郎

Profile
2006年、第12回電撃小説大賞に投稿した『十三番目のアリス』で、2006年8月電撃文庫よりデビュー。
2011年5月には、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』最新8巻を発売予定。

 田中ロミオという作家は私にとってあらゆる意味で偉大な先人でして、私は小説家としてデビューするずっと以前から、田中さんの書かれたシナリオには、おおいに泣かされ、笑わされてきました。

 ですのでいまも同業者というよりは『超凄い憧れの人』という感じです。完全ファン目線です。「Rewrite」超楽しみにしてます。

 田中さんは、難解なテーマをユーモア(ブラックという単語が付くこともあります)にくるんで、理解力の低い読者(私のことです)にも分かりやすく伝える手腕に優れた作家だと思います。

 入口は広く、中は見通すことが出来ないほどに深い。一筋縄ではいかない。そんな一度はまったら抜け出せないトラップのようなシナリオを書かれる方です。

 小説『人類は衰退しました』においてもその実力はいかんなく発揮されており、かわいらしい妖精さんたちとのほのぼの生活の中に、一言では言い表せぬ『何か』を見つけることができます。

 それを発見したときの喜びは『人類は衰退しました』の大きな魅力の一つではないでしょうか。このあたりアニメでどう表現されるのか、一ファンとして楽しみにしております。

応援コメント第二弾

東出祐一郎

Profile
propeller所属のゲームシナリオライター・小説家。
代表作は、PCゲーム『あやかしびと』『Bullet Butlers』
『エヴォリミット』、小説『ケモノガリ』ほか。

「人類は衰退しました」アニメ化おめでとうございます!

初見の方は、まずタイトルからして面食らうと思います。
何しろ「衰退しました」です。これから衰退していくのではなく、
既に衰退してしまったのです。衰退へと向かうドラマティックな展開は存在せず、
もう地球の支配者であることから引退してしまった人間が、現地球の支配者である、
あらゆる物理法則をブッ飛ばす妖精さんを観察し、交流する。
これはただそれだけの、とっても面白くて愉快で仕方ない物語。

奇妙奇天烈で、「すこし・ふしぎ」な世界を是非是非お楽しみ下さいませ!

応援コメント第一弾

うろぶちげん

Profile
ニトロプラス所属のゲームシナリオライター・小説家・アニメ脚本家。
代表作は、PCゲーム『Phantom PHANTOM OF INFERNO』『沙耶の唄』、
TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』、小説『Fate/Zero』ほか。

 田中ロミオが抱える闇は、この私など比較にならないほど深く、濃い。
 いや何処がどうとか、根拠があって言っているわけではないけれど。私の中にある闇センサーは、より高質量で圧倒的なブラックホールの存在が田中ロミオ方面から検出されていると告げています。そしてこのセンサーは商売道具なので、私にとっては五感以上に信憑性の高い知覚としてまざまざと実感できるのです。こいつァ黒い! 真っ黒い! と。
 しかしロミオ氏の凄いところは、そんな圧倒的景観を誇るであろうブラックホールをそのまんま観光名所とせず、ダイソン球で囲い込んで外部からは完全に秘匿しつつ全エネルギーを完全有効活用している点です。──上っ面だけ見てると、別に黒いところなんか全然見当たらないんですよ。特に「人類は衰退しました」シリーズなんてそう。愛らしく長閑で、読後感もほっこり温かくも爽やか。なのに……重力波検知メーターの針を震わすこの不穏な反応は、何? キャラの名前が不明なのが、妖精さんたちの正体が分からないことが、何故こんなにもスリリングなの?
 心の闇は恥ずべきものなのでは決してなく、むしろ闇に抗う健全さこそが人の美徳である以上、大いなる闇を抱えた者にこそ、より美しい人間たり得る資質が与えられるのです。とりわけ作家にとって心の闇とは創作エネルギーの源泉なのだから、黒さは美点であると断言してまったくOK! それが原因で人間的にアレだったとしても苦労させられるのは担当編集者だけなんだし、大多数の読者、ひいては人類社会全般においては「作者は闇属性なほど良い」と断言していいのです!
 いやもちろん、田中ロミオの人格がアレで編集さんが日々枕を涙に濡らしている、などという事実は当然皆無なのだけれど。それでもロミオ氏が心に備蓄した闇資源を巧みに、クリーンに活用する作家としての手腕には、本当に卓越したものがあるのです。普通ならもっと露悪的に晒して川に鉱毒を垂れ流してしまうところだろうに、決して自らの内燃機関のシステムを露出させることなく、煌々と眩しく作品を輝かせている。その手の内の読めなさ、底知れなさは、常に同業者として畏怖と羨望の対象であります。