キャストコメント動画

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇
キャストコメント①

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇
キャストコメント②

ミュージカル『薄桜鬼 真改』土方歳三 篇
キャストコメント③

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毛利亘宏&西田大輔 スペシャル対談

動画には収録しきれなかった対談はこちらから

ミュージカル『薄桜鬼』*スペシャルインタビュー 〜「誠」を繋ぐ男たち〜
毛利亘宏×西田大輔

2012年の初演から本作の演出を手掛けてきた毛利亘宏に代わり、2018年の『志譚 土方歳三 篇』より演出を担当してきた西田大輔。そして──2024年の新作公演から再び毛利が演出を担当することに! 殺陣×ダンス×歌×芝居という表現スタイルの先駆であり、一作ごとにブラッシュアップを続けながら今なお多くの作品ファンを獲得し続けている「薄ミュ」。作品の歴史を繋ぎ、闘う漢たちの熱を繋ぎ、「誠」の旗のもと物語を紡ぎ続けてきた二人のクリエイターが、新たな節目を迎えて改めて語り合う“自分にとってのミュージカル『薄桜鬼』”とは。愛とリスペクトと開拓心に溢れたそのリアルな言葉を届けたい。
(インタビュー・文:横澤由香)

──再びのバトンタッチ。ここに至るまでの経緯とは?

西田

そもそもは…紆余曲折があって僕が「薄ミュ」の演出を担当することになったとき、毛利さんと二人でお話しするタイミングがあったんですよ。30分ぐらいかな。僕は毛利さんって劇団名と同じく…じゃないけど、本当に少年みたいな人だなって思っていて、そしてお話をしてまさにそれを実感したんです。で、いろいろ話して最後にぽろっと「本当はやりたいんだけどな」ってすごく自然に言葉にしたのを聞いた時に、僕は僕で素直に「このバトンを繋いで、いつかまた毛利さんにお返ししたい」と思ったんですよね。それが今このタイミングでっていうのは、ひとつはこの先続けると毛利さんよりも僕の方が「薄ミュ」歴が長く…手掛けた作品数が多くなってしまうなっていうこと。初めに毛利さんが心血注いで作ってきた「薄ミュ」があって、形が変わって、でもやっと“今の「薄ミュ」”を支えてくださっているお客さまがいてくれて…「HAKU-MYU LIVE 3」も出来ましたしね。なので、それが経験できた僕は今こそ改めて毛利さんにバトンを返し、いつまでも…製作陣もみんなこの「薄ミュ」を愛してるからこそさらに続けていくためにも、それを実現させようと思ったんです。

毛利

今回、最初に西田さん自身から僕にまた演出をやって欲しいというお話しを打診されて、僕も正直驚いたというか…こういうケースって他の舞台だとほとんどないですよね。バトンタッチしてからは自分自身も「やりたい」って気持ちを残しながら、でも西田さんがもう全然心配なく、しっかりとご自分の「薄ミュ」っていうものを新しく作ってくれているので、これからはそれを見守っていこうってずっと思ってたんだけども──やっぱり続いていくために変わらなきゃいけないこととか、結構作品の主題自体にあったりもする作品ですからね。そこも含めて僕は今またバトンを渡してくれようとしている西田さんのその思いをね、しっかり受け取らなきゃいけないよなって。

西田

それと…去年(「薄桜鬼」総合プロデューサーの)藤澤(経清)さんと3人でやった対談。結構白熱して、1時間位じっくり話した最後のメッセージで毛利さんが客観的に「薄ミュ」を語りつつも「未練がないと言えば嘘になるけど」ってぽつりと言ったのを聞いたときもね、「毛利さんってなんて素敵な人だ」なと思ったんです。

毛利

そうですか(照)。

西田

そういうことを包み隠さず言葉にするこの人だからこそ、みんなに信頼される演出家でもあるんだろうなって。だからもう僕だけでなくこの「薄ミュ」の製作陣もものすごくこの作品を大事にして何とか続けようっていうことで作り続けてきているし、絶対に一番いい形で毛利さんにお返しするんだっていうその思いはさらに僕の中で強くなっていましたけどね。

毛利

うん。僕は逆に言うと、西田さんじゃなければこういう演出家のリレーのようなことにならなかったと思う…気持ち的にね。そもそももうほんとに一方的にライバルだとずっと思ってきたから。

西田

そう、ライバルです(笑)。

毛利

だから僕たち自身のこの関係も熱いよね。ライバルで、でも初めて会って一緒に飲みに行った時から、今はこうやってすごくコミュニケーションとって共にひとつの作品に関わっているのって、ちょっとね、すごく熱いなぁって。

西田

なかなかないことだし、すごい不思議な感じですよ。

毛利

もちろん今も西田さんはやっぱりライバルだなと思う時が多いし、すごく刺激をもらってますけどね。

西田

僕もそうですよ。で、自分のことを言っちゃうと、僕も「僕でよかったな」と思ってました(笑)。毛利さんがやらなくなって、それを僕がやることになってよかったなって。それを今、やっと言えます。

毛利

うん。よかった。僕もそう言ってもらえて嬉しいです。

──とは言ってもやはりバトンを引き継いで以降丹精込めて育ててきた「薄ミュ」です。西田さんの中にも作品を手放していく感慨深さもあるかと。

西田

この前自分にとっては初めての「HAKU-MYU LIVE」をやったんだけど、なんか…とても感動したんですよね。ただその時にはもう心は決まっていて、でもみんなにはまだ言ってない状態でもあり…そうしたら「うわ、めっちゃ寂しいな」って。

毛利

そうだよねぇ。

西田

あの時の毛利さんはこんな気持ちだったのかなってふっと思って、ちょっと胸が熱くなりました。もちろんその思いは今もめちゃめちゃあるんですけど(笑)、やっぱり「薄ミュ」の礎を築かれたのは毛利さんで、僕は常にそこにリスペクトがあった中で作っていたから、「LIVE3」をやって、「山南篇」をやって、じゃあ次は…?という「ここ」が、やはり再びバトンをお渡しする素晴らしいタイミングのような気がします。

──結果、シリーズ初の「山南敬助 篇」が節目に。

毛利

「山南、ついにきたか、観たい観たい!」と思いました。輝馬も本当に長く山南役をやってくれてるんで、その彼がメインのルート、いいものになるだろうな、楽しみだなぁと。

西田

でもこんな言い方あれだけど、「山南篇」って、方向的にはちょっとマニアックじゃないですか?

毛利

マニアックだね(笑)。

──稽古中の様子などは…

西田

僕がやることに対しての「これが最後だ」という気負いとかは特別なかったけど、ただ、これが最後になってしまうナンバーはきっとたくさんあるだろうから…曲って、作品が終わったらなかなか歌う機会もなくなっちゃうじゃない? だからそういう意味では現場にも「最後まで大事に歌い上げたいな」みたいな空気ありましたよね。また、今回ラストシーン周りの流れの中で原作にはないんだけど物語的に「これをちょっとやってみたい」と、初めて原作の藤澤さんに提案してみたことがあって…ダメ元で。そうしたらなんとOKが出て、しかもそこに注釈などではなくてたった一言、「胸熱ですね!」ってメッセージが入ってたんですよ! 素敵な反応でこっちがびっくりしてしまった。

毛利

藤澤さん、そういう方なんですよね。楽しんでくださる。

西田

そうなんですよね〜。

──毛利さんは西田さんが紡いできた「薄ミュ」をご覧になってきて、どんなことを感じていたんでしょう?

毛利

やっぱり自分とは大分違うんだなと思いましたし、逆に自分の作風とか手癖、やりたいことを見つめ直す機会になったっていうのはすごくあります。西田さんは男の子をすごくカッコよく描いているのがすごいよなぁ。やっぱり同じセリフを演出してもあの空気は僕には出せないなとか、そういうふうにいつも感じていましたから。

西田

僕は毛利さんは自分が前に出過ぎないけれどちゃんと自分の作りたいものを作る、みたいなところがとても素晴らしいなと思っていたので…2.5次元舞台って特にそこは大事。自分が出ちゃうのってカッコ悪いんですよとても。なので、自分が演出をやりながらも毛利さんがストイックに作ってきた世界観の色みたいなのは、やっぱり常に頭にありました。で、めっちゃ面白いなと思ったのは、僕は基本的にゲームの原作のセリフをすごく使うんですね。もう、ある意味一言一句変えずにどんどん入れて作っているんだけど、世間のイメージだとなんか僕、変えてそうだなって思われてるんですよ。

毛利

うん、わかる(笑)。でも実際は僕のほうがたぶん変えてると思うな。

西田

そう。毛利さん、大胆なことしてますよ。まじで原作の8行くらいのセリフを二言ぐらいにバシッと変えたりしてて、それが俺はめちゃくちゃ面白いなと思うんだけど、たぶんみなさんは原作通りなのは僕なのに、「あいつまた勝手に変えやがって」みたいに思ってるよね(笑)。

毛利

ハハハッ(笑)。そうですね、2作目、3作目を超えたあたりからは、本当に変えるようになっていった気がする。当時はとりあえず続けていくことがすごく不思議な状態になってたんだよね。だから毎回同じことをやっちゃわないように、同じストーリーでもルートごとにどう違うものにしていくかっていう戦いというか…今回は沖田です、藤堂です、前の作品とは違うんですっていう時に、でも結果同じセリフを使うことになっちゃうので、そこは例えば「藤堂だったらこういう脚本になるよね」というところを、原作サイドとも相談しながらやってたところはすごくあったかな。

西田

だから、結構そういう意味では“西田大輔は男男っぽく作ってる” ってイメージなんだけど、実は毛利さんのほうが “作り方として「漢」だな”って思う瞬間もあるんですけどね、僕は。

──確かに。そのイメージの逆転、面白いですね!

西田

そうなんですよ〜。面白いでしょう? これこそ自分がやってみて気づいたことなんですけどね。

毛利

だからもうそうやって原作を大事にしながらひとつひとつ西田さんが作ったミュージカル『薄桜鬼』というものの集大成として、この先もそれらをちゃんと受け取って、そしてまた次に進みたいなっていう…僕の思いはもうそこに尽きますね。演出家もスタッフも役者もこれまで関わってきたみんなが歴代の思いを継いで繋いでやってきた作品ですし、「薄ミュ」はそこの“繋がり”がすごく大事な作品で──新選組という題材がそういう気持ちにさせるのかわからないですけど、すごく自分とストイックに向き合って物作りできる現場だと思うので、ここで西田さんが積み上げてきたものを全部受け取りたいなと思っています。

──ただ、ファンの方々は純粋に「どうして何度も演出家が変わるのだろう?」と、体勢の変化に不安を抱くことがあるかもしれない、と。

毛利

はい。なので今回バトンタッチについての打ち合わせをする中で、発表のタイミングで一回二人で対談させて欲しいとお伝えしました。僕から西田さんに変わる時にそれがなかったっていうのも気にかかっていたし…もちろん、特別そこになんかあったわけじゃないけど、でも前回も今回も円満なんですよ。自発的に話し合いながら進めてきたことだったんだよって伝える場みたいものはね、用意したかったなって思っていたので。

西田

ですね。でもたぶんこの交代劇っていうのは、そのハレーションみたいなものは僕はね、ない気がしているんです。毛利さんがおっしゃったように最初の交代の時は特に説明などなかったので、もしかしたら毛利さんから僕が『薄桜鬼』を取ったみたいなことを思った方もいるかもしれないなと考えたし、ある意味僕は逆風ある中でのスタートだったと感じています。本当にね、「俺だって、俺だって毛利さんに返したいんだよ!」っていう気持ちはあったんです。でもそのためには今頑張らなきゃいけないことと、この先に紡いでいかなきゃいけないものがあるんですって思ってきたその気持ちを、知っておいてもらえたら。あの時は僕の中に『毛利さんが一旦離れることでもし「薄ミュ」自体がなくなってしまったらとんでもないな』っていう思いもあったし、なんか…苦節5年、繋いできましたよ、と(笑)。失ってわかる寂しさ、みたいな今の思いはもはや僕なりの無償の愛だから、この寂しさもまたいいんじゃないかな、というのが素直な思いですかね。

毛利

自分的にはこのバトンタッチでなんかすごく…自分を鍛え直したいな、もう一度自分を作り直したいなって思ってるんですよね、今。だから一番自分が辛い現場にもう一度入れるんだっていうのが嬉しいし…愛って辛いってことにまた気付かされてもいる(笑)。たくさんの愛がいっぱい集まっている場所、その愛のぶつかり合いはもう戦争だからね。

──「辛い」というのは?

毛利

もちろん自分の劇団はありましたけど、立ち上げの頃はそれとは違うベクトルで一番創作エネルギーを注いでた現場だったし、すごく辛かった日々で…

──世間の受け取り方も今と全然違いましたしね。カンパニー全体がギラギラと戦闘モードだった。

毛利

そうでしたね。でもそれがしっかりと作品になっていく、見てくださる方々に伝わっていくっていうのがやっぱりすごく面白かったんです。でも自分ももうすぐ50歳になりますけど、コロナもあった中で、今、ここで頑張んないと一生この仕事できねえなってすごく危機感を覚えまして。自分のクリエイティブというものをもっと追い込んで追い詰めていかないとってね。そうして振り返った時に「ミュージカル『薄桜鬼』やって、そして離れたあたりが自分の一番のピークで終わっちゃうな」って、すごく思ってたんです。だからもう一度自分をギリギリまで追い込んで成長したいなっていう時に西田さんからこの「薄ミュ」のバトンのお話を伺って──あ、今思い出したけど、まだ俺1回目の「薄ミュ」やってた時、バイトしてたわ。居酒屋で。

西田

そうなんですか!? え、それ、すごい話ですよね。

毛利

(笑)。だからね、ミュージカル『薄桜鬼』は俺を食えるようにしてくれた作品でもあった。初代メンバーみんなもそうかな。ほとんどが初めてのオーディションで役を勝ち取った奴らで、松田凌もハングリーだったし、矢崎広なんてあの当時はもうカミソリのような男だったからなぁ。そういう俳優たちの成長というものを一緒に感じながら、作品テーマの普遍性と、新選組っていう集団の熱とがすごくいいバランスでエンタメに昇華していって。やっぱりさ、この作品って座組がほんとに新選組になるじゃない? そこでみんな命がけで作品に臨む。常に誠を背負うとか、武士になるとか、そういう「本物になる」みたいな気迫。「本物と偽物」とかって役者の日常にも重なるし…我々もね。現実とフィクション両方を揺さぶるようなテーマがある作品だからやっぱりみんな熱中していくというか、自ずと熱気を帯びてくるみたいな勢いは忘れられないですよ。

西田

本当、そうなんですよね。初代メンバー以降、本当にいい俳優がいっぱい出てますよね。歴代みんな、本当にいい俳優たちがいっぱいいる。もちろん今もそうだし、それもこの作品の大きな魅力だと思います。

──「薄ミュ」は作品を語るときに最新作だけでなく常に過去作へも話題が広がっていくんですよね。その度に、お二人と、そして全てのキャストが今この場所まで私たちを運んできてくれてるんだな、と感じます。

西田

やっぱりミュージカル『薄桜鬼』を愛してくださっている方っていっぱいいるし、そして、愛していたという方もたくさんいると思うんです。そこでこうやって他の演劇にはなかなかないことが…演出家がバトンタッチした後に、再び作品を立ち上げた演出家さんが戻ってくる、という僕ら引き継いでいた者たちの思いも叶った。この流れの中でずっと追い続けてくれている方はもちろん、もし作品から離れていたという方も、毛利さんが戻ってくるということを機にもう一度ミュージカル『薄桜鬼』を愛してほしい、この節目がまた劇場の扉を開けるきっかけになってくれたらうれしいなと僕は思います。そして、今の「薄ミュ」を愛してくださっている方もきっとたくさんいるだろうから、その方たちには「これからも心配は無いぞ。毛利さんだぞ」ということをお伝えして──次からは僕も客席でこのミュージカル『薄桜鬼』を楽しませてもらいます。やっぱり観客のみなさんは尊いです。みなさんの支えがあったからこそ、こうして作品が続いているんですから。

──西田さんにも支え続けていただきたいです。

西田

はい、もちろんです。この先も僕はカンパニーの一員だと思っているので…何かあった時はいつでも助けられるようにという気持ちで、これからも応援しようと思っています。

毛利

なんかもうバトンタッチというか、ほんとにこれからも西田さんと一緒に作っていくぞというつもりで僕は考えてて…自分が立ち上げた作品ではありますけど、それを引き継ぎ繋ぎ続けてくれた西田さんにリスペクト持ってやっていきたい。あとはやはり過去の自分をなぞらないようにというのを大事にしたいですね。初心に戻り、己に問いかけ続けながらいい作品を作っていきたいなと。また──辛い現場に返りたいと思います(笑)。

西田

ハハハッ(笑)。毛利さんの新しい「薄ミュ」、楽しみにしています。