電脳オタクプロレスラー菊タローのエルダールその日暮らし日記 | 卯月鮎のエルダール探索録

卯月鮎のエルダール探索録

第1回 ファンタジーの原野に生まれたシーフ

まずはご挨拶から

 人生で何に時間を使ったか、棒グラフにできる機械があったら面白そうだ。 私の場合はダントツでゲームが突き抜けていると思う。 何せ小学生のころから延々と遊び続けて、結局、仕事にもしてしまったほどだ。

 そして第2位は多分読書だろう。 特に翻訳もののファンタジーが好きで、中高生時代には図書館に入り浸り、『指輪物語』や『ベルガリアード物語』を読みふけっていた。 ファンタジー小説は、一度ページを開くと嫌なことを忘れさせてくれる。現実逃避もたまには必要だ。

 そんな、ゲームとファンタジーを両手に装備した私が、無視できっこないのがRPG。 特に、『ヴァルハラナイツ』のように、世界に雰囲気がたっぷりあって、まるで自分が冒険しているような感覚に陥るRPGは遊んでいて本当にうれしくなる。 荒涼とした草原を駆け抜けて剣を振るい、敵が落とした正体不明のアイテムを拾ってワクワクし、用もないのに街をぶらついて顔なじみにあいさつする……。 気ままな冒険者、ああうらやましい。

 これから全7回にわたって、こんな私がプレイ日記をお届けする予定。 人とはちょっと楽しみ方が違う部分もあるので、参考になるかはわからないが、『ヴァルハラナイツ』の魅力をぜひ一緒に味わっていただければと思います。 なお、写真は自宅で撮影しているため、少々画質が粗く、色味も違うのはご愛敬ということで。

我が名はアーサー

最初に振り分けられるセットポイントはかなり多い。
自由なキャラメイクができる

■キャラクターメイキング

 さて、ゲームをスタートして、最初にやることはキャラクターメイキング。 こうしたRPGは冒頭から楽しみがある。これで10分、長いときはもっと長く、キャラクターの人となりを想像しながら、あーだこーだと決めかねる。 この時間も有意義。

 2章からは女性も選べるが、とりあえず1章はヒューマンの男性で固定。 顔や髪型を選んだらお次はボイス。これは結構重要だ。 日常生活でも“コワモテの人が話し出したら、妙に高い声”なんて腰砕けパターンはありがち。 私はボイスを聞き比べて主人公っぽい声を選んだ。 もし、厳しい荒野をひょうひょうと生き抜いていく青年、なんてキャラをイメージしたなら、No.6の声が合ってると思う。

■職業の決定

 キャラクターネームは一応デフォルトのアーサーのまま。 そして、メインディッシュとも言える職業の選択に移る。 実はあとから簡単に転職できるので、それほど神経質になる必要もないが、やっぱりファンタジーファンとしては悩みどころ。

 ファイター、シーフ、プリースト、メイジ、バード。 聞き慣れないバードとは、吟遊詩人のこと。 竪琴で味方をサポートする職業だ。 バードにも惹かれるが、結局選んだのはシーフ。 なんといっても敵からアイテムが盗めるし、武器として弓に絡むスキルがあるのもいい。 私は、RPGでもシミュレーションでも弓キャラが好きで、遠くから物陰に隠れてそっと狙い打ちする姑息なタイプ。チクチクと敵を削ってはニヒヒと笑う。

 最後はポイントを自由にパラメータに振り分けて終了。 思い切ってSTR(体力)、SPD(素早さ)、DEX(器用さ)をドーンと最高の10にして、あとはバランスよく分けた。 うん、なかなかいい感じ。こうしてシーフのアーサーが誕生したのだ。

■ヒューマンの街ヴェストリア

 でもって最初はヴェストリアという石畳の街から始まる。 ほとんど色彩がない渋い風景が、シリアスなファンタジー世界へやってきたという気分を盛り上げる。 街の中心にある広場の噴水で、ヒューマンのヒロイン、ペネロペがお出迎え。あちこち街を見物といきたいところだが、もう我慢できない。 海に来た小学生のように、ろくに準備もせずに北門から北モール平原へ飛び出した!

大地は冒険者を待つ

広々としたフィールド。
ひとりではちょっと寂しい。今度は傭兵を連れて来よう


謎めいた車いすの少年アドル。
何か物語のカギを握っていそうだが……


ネズミ系魔物との戦闘。
いざとなったらすぐ逃げよう。止まっていればHPとMP回復

■広大なフィールド

 門が開くと目の前には荒野! 広い! ワイルドに広い!! 思わずダッシュボタンを押して意味なくかけずり回る(これじゃドッグランに来た犬だ)。

 すると、先ほど街で初老の紳士が話していた大きな洋館が見えた。 門の脇にはさっきの紳士・執事セバスチャンと車いすの少年アドルの姿が。 話を聞くとどうやら洞窟の奥の薬草を採ってきてほしいらしい。 これが戦闘のチュートリアルに当たるようだ。

■リアルタイムバトル

 戦闘は、これまでのシリーズとは違い、シームレスのリアルタイムアクションバトル。 シンボルエンカウント制ではないので、敵を見つけたらいちいちロードすることもなく、サクサクと戦える。 ついでにダッシュのスピードも速い。タタタタタッと野ウサギを追いかけ、Aボタン連打でズバズバと斬る。 Bボタンは強攻撃だ。敵に当たらないとあさっての方向にコンボを繰り出してしまうので要注意。 ヌンチャクのZボタンでロックオンするのが確実だろう。

 これからもっと特殊な動きをする敵や、豪快な攻撃を繰り出す敵もいて苦戦するんだろうが、ここは楽勝。 こういうゲームは戦っていて楽しくないと始まらない。

■秘石・星のカケラ

 戻ってきてアドルに薬草を渡すと、聞いてほしいことがあるという。 彼の家が代々守ってきた秘石「星のカケラ」。それは、長年にわたる魔物との戦いに終止符を打つ可能性を秘めているらしい。 星のカケラは、他の種族が守るダンジョンにもあるとか。 なるほど、星のカケラを探せばいいってことか?

 しかしその前にアドルは言った。 「ギルドで私が依頼しているクエストを受けてもらえないでしょうか?」。 も、もしや、試されている?
 次週はクエストの模様をリポート。ドワーフの砦も訪問予定。乞うご期待。

卯月鮎(うづき・あゆ)

ゲームコラムニスト・書評家。週刊誌やゲーム専門誌で活躍中。
著書に、中学生にファミコンを遊ばせる『はじめてのファミコンなつかしゲーム子ども実験室』(マイクロマガジン社刊)がある。
また、海外ファンタジー小説の解説も手がける。