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『プリキュアシンガーズ Premium LIVE HOUSE Circuit!2025』~ライブレポート~

プリキュアシンガーズ Premium LIVE HOUSE Circuit!

 『プリキュアシンガーズ Premium LIVE HOUSE Circuit!2025』ライブレポート


2023年夏、プリキュア20周年を記念して幕を開けたライブハウスサーキット。歴代のプリキュア楽曲をライブハウスで直接感じられる、プレミアムなひとときを届けてきました。2025年は会場キャパシティを昨年からさらに広げ、より多くのファンがプリキュアミュージックの熱気を体感できるツアーへとバージョンアップしました。

なかでも7月19日(土)に行われた横浜・KT Zepp Yokohama公演は、出演者の顔ぶれがツアー最多となり、キャパシティも最大規模に。そのステージに立ったのは、全公演に出演しツアーを支えた『キミとアイドルプリキュア♪』OP主題歌歌手の石井あみさん、熊田茜音さん、吉武千颯さんをはじめ、広島・大阪を盛り上げた工藤真由さんと吉田仁美さん、ファイナルの名古屋を支えてくれた池田彩さんと北川理恵さん、そしてMachicoさん、後本萌葉さん。9人のプリキュアシンガーが、世代や作品を超えて、分厚いハーモニーを響かせました。本稿では、横浜の昼・夜2公演の模様をそれぞれ振り返ります。


  • 序盤は最新のプリキュアソングをたっぷりとお届け

 

プリキュアシンガーたちによる影ナレーションで、開演前からすでに大きな期待感とワクワクに包まれていたKT Zepp Yokohama昼公演。SE後、華やかな衣装に身を包んだプリキュアシンガーズたちが手を叩いたりスキップしたりと弾むような仕草でステージセンターに集結し、「プリキュアー!」という掛け声を響かせると、会場内の歓声がより一層大きなものに。そして花が一斉に開くようにプリキュアシンガーたちが広がっていき、『わんだふるぷりきゅあ!』ボーカルアルバムにてアンサムソングとして誕生した全公演共通のオープニングナンバー「Wonder Flowers プリキュア」へ。ハンズクラップが会場を包み込み、プリキュアシンガーと観客の心をひとつに結んでいきます。



序盤は近年のプリキュアソングがたっぷり。2曲目は、石井さん、熊田さん、吉武さんの3人による「キミとアイドルプリキュア♪ Light Up!」で、ミラーボールの虹色のきらめきに包まれながら、軽やかなステップとともに会場を盛り上げ、観客の表情をLight Up!。「プリキュアシンガーズ、ライブハウスサーキット横浜!」(吉武さん) 「みんないっしょに楽しんでいこうね!」(石井さん)「キミの声、聴かせてください!」(熊田さん)とそれぞれ呼びかけると、客席から大きな歓声が起こりました。



その熱を上昇させるかのように北川さんが「みんないくよ〜!」と、今年1月に放送された『魔法つかいプリキュア!!~MIRAI DAYS~』より、「Dokkin◇魔法つかいプリキュア!!Part3~MIRAI DAYS~」を歌唱。愛され続ける『魔法つかいプリキュア!』シリーズをつなげる曲を表情を変えながら届けて“劇的大興奮”の空間に。この曲が初披露となったのも、同じKT Zepp Yokohamaのステージ(昨年10月の『わんだふるぷりきゅあ!LIVE2024 FUN☆FUN☆えぼりゅーしょん!』)。その時もほうきに乗るパフォーマンスで観客を沸かせていましたが、今回はその動きを取り入れつつ観客のウェーブを先導し、「これ、すごい楽しい! ワクワクもんだぁ〜!」と北川さん。歌で魔法をかけていくかのように、観客の笑顔を咲かせていきます。



ガラリと雰囲気を変えたのが、後本さんのステージ。『ぷちきゅあ~Precure Fairies~』の主題歌「♥DANZEN!kawaii! ぷちきゅあ♥」は、『ふたりはプリキュア』OP主題歌「DANZEN!ふたりはプリキュア」を『ぷちきゅあ』にアレンジした1曲。“ちいさななかまたち”の世界をそのままステージに映し出したような愛らしい歌声と無邪気な仕草で観客を魅了します。最後に手を高く掲げる姿も、どこか力を込めすぎたような敢えての表現で、「ぷちきゅあなりに一生懸命歌ってるんだぞ!」という思いを込めていると後のMCで明かしていました。



再びギアを上げるように始まったのは『キミとアイドルプリキュア♪』シンガー3人による「いざ!アイドル」。この曲はライブハウスサーキットと前後して発売された『キミとアイドルプリキュア♪』ボーカルアルバム~We are!You & IDOL PRECURE♪~に収録されたイメージソング。〈歌うのが好き やめられない 踊ってルンルン とまらない〉という弾むようなフレーズは『キミとアイドルプリキュア♪』のイメージそのものでありながら、プリキュアシンガーたち自身の姿とも重なるかのよう。三者三様の歌声と3人自身が考案した振り付け、客席のハンズクラップで会場の一体感をさらに高めてきました。

 

  • プリキュア魂をいっぱい聴かせて!

 

一呼吸置いて全員がステージに集合し、自己紹介の時間に。まずは『キミとアイドルプリキュア♪』シンガーの3人から。「こんなにたくさんの皆さんに会えてとっても嬉しいです! この横浜がいちばん大きな会場。最高の盛り上がりを見せてくれますか?」(石井さん)、「今日はキミの笑顔を焼き付けて帰ります!」(熊田さん)、「楽しむ準備はできてますか? プリキュアソングは好きですか? この調子で最後まで盛り上がっていきましょう!」(吉武さん)と、それぞれが熱いメッセージを投げかけ、客席の熱気を一気に引き上げていきます。バトンを受け取るように、歴代シンガー陣も自己紹介。

工藤さんは「プリキュア魂いっぱい聴かせて下さい!」と力強く呼びかけ、池田さんは「キミのアイドル・池田彩です! 今日は会場のみんなのハートをキャッチしにきました!」と元気いっぱいに宣言。吉田さんは「胸の鼓動をいっぱい響かせて、めいっぱい楽しんで、みんなの笑顔をいっぱい見せてください!」と伝え、北川さんは「日本中の、世界中のどこよりも、今熱い空気になってると思うので、その空気をどんどん高めていきましょう!」と力強くメッセージ。一方、Machicoさんは「思いやりがあふれる、みんなが笑顔になれるライブを」と、プリキュアならではの温かな空気を広げていきます。「久しぶりにみんなと会えて本当に嬉しい」と喜びを伝えたのは後本さんで、「このあとも“もっとノリノリ”で頑張ります!」と意気込みを伝えました。

また、MCでは前半戦を振り返りながら、ライブハウスサーキットに込められた思いを述べる場面も。その最後に「ライブハウスサーキットは、最高のプリキュアミュージックを私たちプリキュアシンガーズがキミと熱く共有したいという企画です」「歴代のたくさんの楽曲が受け継いできたプリキュア魂を」「これからみんなと一緒に、もっともっと花開かせていきたいです」とまっすぐに伝えると、温かな拍手が響きます。その直後に届いてきたのは、〈 何1つ無駄にしない 涙(きらり) 種も(ひらり) いつか 花が咲くよ〉と高らかに歌う『ハートキャッチプリキュア!』の劇中挿入歌「HEART GOES ON」。

歴代の名曲たちが畳み掛けるように届けられた中盤戦。曲が進むたびに客席からは大きな声が上がり、ただ単に過去や思い出を振り返るだけの歌ではなく、未来へと続く曲として瑞々しく響きました。

 

  • サーキットのために新たにアレンジされたあの名曲を披露

 

「HEART GOES ON」で工藤さんと池田さんが“プリキュア魂”のこもった力強いハーモニーを響かせたあとは、池田さんが「もっと声を聴かせて!」と、同作のOP主題歌 「Alright!ハートキャッチプリキュア!」をその華やかな歌声で届けていきます。続く『スマイルプリキュア!』前期ED主題歌「イェイ!イェイ!イェイ!」では、吉田さんが「みんなの声を聴かせてー!」と呼びかけ、チャーミングな歌声に導かれる形でコール&レスポンス。そこへ「まだまだ踊るよ!」と工藤さんが登場し、『ハートキャッチプリキュア!』前期ED主題歌「ハートキャッチ☆パラダイス!」をパフォーム。次に吉田さんが届けたのは、『ドキドキ!プリキュア』前期ED主題歌「この空の向こう」で、〈プププ プリキュア!〉の掛け声を会場全体で歌い、さらなる一体感が生まれました。







その明るさの中に潜むロマンティックな空気を引き継ぐかのように、ステージはプリキュアシンガー全員での「ガンバランスdeダンス~希望のリレー~」へ。今回のライブのために高木洋さんが新たに編曲したLIVE Originalバラードバージョンです。冒頭のフレーズを紡いだのは、オリジナル(『Yes!プリキュア5GoGo!』後期ED主題歌)を担ったキュア・カルテットの一員である工藤さん。その歌声をきっかけに、バトンのように次々と歌声が手渡されていき、プリキュアシンガーの輪が広がっていきます。幻想的な演出の中で、立ち位置を変えたり、ゆるやかに交差したりしながら歌声を重ねていくその姿は、まるで夜空に星座の形を描いていくかのよう。バラードの余韻からつながったMCでは、ライブハウスサーキットへの思いをそれぞれが熱弁しました。



吉武さんが「今回が初めてのライブハウスサーキット参加だけど、どう?」と熊田さんに問いかけると、「最高に楽しいです!」と即答。「ステージ上でプリキュアシンガーのみなさんと集まれたこと、そして“キミ”といられるこの時間が本当に幸せです」と観客に思いを届けました。吉武さんも「シンガーみんなで集まれるのは、このライブハウスサーキットならでは」と頷きます。

続いて石井さんは、デビュー年に1年目のサーキットへ参加した思い出を振り返り、「先輩たちがバトンをつないでいる様子を見られたことが、本当に良い経験でした」としみじみ。吉田さんも当時を振り返り「プリキュアのライブをここ(ライブハウス)でするんだって驚いたんです。そこからキャパシティもどんどん大きくなって、進化のスピード速すぎない?と思うくらい」と笑顔でコメントしました。工藤さんも頷きながら「『Yes!プリキュア5』の時代はほとんどがファミリー向けのホールイベントだったので、こうしてライブハウスで一緒に盛り上がれることが感動的で、スタッフさんに感謝ですし、みんなが大人になっても「プリキュア」を応援してくれているからこそできていることだと思います」とその歴史を語ります。北川さんは「お客さんの合いの手が完璧なのが1年目から衝撃的でした。ファンの皆さんが会いに来てくださるからこそ続けてこられている。私自身もプリキュアファンなので、生で聴けることを楽しみにしているし、リハーサルからすでに楽しい!」と全身で喜びを表現。池田さんも「1年目は地元・大阪からのスタートで、めちゃくちゃ気合いが入りました。ひとりじゃなく、こうやってみんなで一緒に歌えること、そして会場のみんなに会えることがとっても嬉しい」と喜びを言葉にします。

Machicoさんは、1年目の広島公演を振り返り「大好きなプリキュアで地元に行けたことが嬉しかったです。各地で歌い繋いできた想いを地元で受け取り、また全国へ届けることができました」と感慨深げ。さらに「千颯にとって初めての地元ライブだったんだよね?」と振り、「ボロボロ泣いた記憶があります」と吉武さんが応じると、その姿を見て北川がもらい泣きしたというエピソードも披露。Machicoさんは「ここからまたいろいろな世代のプリキュアシンガーズが集って、毎年恒例化されるようになったら嬉しい」と未来への期待を寄せました。

そして、未来への決意を語ったのは、自身を“いちファン”と評する後本さん。「私はライブハウスサーキットに出演させてもらうのは2回目ですが、いつも、あの時の神様たちが目の前で歌っていらっしゃる……と感動しています。ライブハウスサーキットでは歴代のプリキュア楽曲をいっぺんに楽しめる良さがあります。私ももう少しお姉さんになったときに、当時の子どもたちと音楽を共有して“あのときの曲!”と思ってもらえるようなシンガーになろうと、毎年胸に誓っています」。思い出と未来への想いを共有したあとは、いよいよ後半戦へ。

 

  • キュア・カルテットの珠玉のナンバーを特別バージョンで

 

「続いての曲はこのライブハウスサーキットならではのスペシャルなバージョンでお届けしたいと思います」と含みを持たせて工藤さんがアジテートすると、はじまったのは『プリキュアオールスターズ3D theater』の主題歌「Come on!プリキュアオールスターズ」。オリジナルを歌う工藤さんと池田さんに加え、吉田さん、北川さん、Machicoさん、後本さんもステージに登場。横に大きく手を振りながら「Come on!」と声を合わせ、会場全体が大きな波のように揺らしていきます。次は吉武さんとMachicoさんによる『キミとアイドルプリキュア♪』後期主題歌シングル収録のイメージソング「Shiny Shiny IDOL」。ふたりのキラッキランな歌声に導かれ、自然とハンズクラップが巻き起こりました。その熱気をつなぐように、ふたりで『わんだふるぷりきゅあ!evolution!!』の冒頭わんフレーズを歌唱。会場の歓声が一段と大きく広がる中、吉武さんがフルサイズを元気いっぱいに届け、わんだふるな笑顔でいっぱいにしました。



そして、この横浜公演のステージでとりわけ印象的だったのが、石井さんの「ひろがるスカイ!プリキュア ~Hero Girls~」の演出と歌声。にぎやかな空間から一転、場内がふっと静寂に包まれ、石井さんが斜め上から差し込むスポットライトの輪の中へと入ると、心臓の鼓動のような低音が響き出します。緊張感が漂う中、歌い出しの言葉である〈Sky-High Fly〉が放たれると会場から大きなどよめきが。「みんなの声を聴かせて!」とアジテートしつつ、この3年間でさらに磨かれた、石井さんのパワフルな歌声が一気に会場を包み込みました。



続いて、Machicoさんが『デリシャスパーティ♡プリキュア』OP主題歌「Cheers!デリシャスパーティ♡プリキュア」でキュートな“デリシャスマイル”を届け、赤いペンライトの光が広がります。そして今度はステージ上も燃え上がるような赤へ。披露されたのは、北川さん、五條真由美さん、Machicoさんによる力強いロックナンバー「NO PRIDE, NO LIFE!」で、五條さんのパートは熊田さんが担当。迫力の歌声でステージを一層熱く染めるなか、ラストでは北川さんが高音シャウトを響かせ、圧巻のステージとなりました。

 

  • 畳み掛けるようなラストスパート

 

後半戦はエンディング主題歌を怒涛の3連発から。まずはアイドルプリキュアたちが歌う『キミとアイドルプリキュア♪』前期ED主題歌「Trio Dreams」を『キミとアイドルプリキュア♪』シンガーの石井さん、熊田さん、吉武さんの3人がカバー。ミラーボールの下で三者三様の魅力を輝かせつつ、エンディングさながらのダンスとオリジナルの振り付けで“キミ”ひとりひとりを魅了します。



「Trio Dreams」を終えると、聴き慣れたイントロが流れ出し、駆け込んできた後本さんと石井さんが笑顔でハイタッチ。そのまま『わんだふるぷりきゅあ!』前期ED主題歌「FUN☆FUN☆わんだふるDAYS!」へ。“仲良しキズナ”が進化した今のふたりならではの、息のあった掛け合いに。さらに『トロピカル~ジュ!プリキュア』後期ED主題歌「あこがれ Go My Way!!」を北川さん&吉武さんが披露と、それぞれがパートナーとのキズナを感じさせるようなステージを見せたあと、「CLAP!〜勇気を鳴らせ〜」の進化系となるブライトなライブナンバー「CLAP & CHANT!~アイノウタ~」へ。北川さんの伸びやかな声で幕を開け、Machicoさんがそれを引き継ぐと、吉武さんも加わって3人の歌声が重なっていきます。曲の中盤、「CLAP、会場中に響かせてください!」という声を合図に、音をあえて切って客席を明るく照らすと、静寂の中、クラップとシンガロングだけが浮かび上がる演出もドラマティックで、まるで祈りのような一体感が生まれていきました。



荘厳な空気感を熱狂へと変えたのが、『映画プリキュアオールスターズF』の挿入歌「All for one Forever」。吉武さんがセンターに立ち、力強い歌声でシンガーとフロアのファンを牽引し、客席の温度をさらに上昇。



ラストの曲に進む前には記念撮影や、あらためて感謝を伝える時間も。最後に熊田さんが「“キミ”の中には、キミが大切にしている歴史があって、音楽があって、プリキュア魂がある。それをすべて抱きしめたいなと思っています。いつも私たちの花に温かな水をくれてありがとう。それではホントにホントの最後2曲。私たちプリキュアシンガーズ、それぞれがひとつに合わさって、大きな花を咲かせられたらと思います」と伝えて、『キミとアイドルプリキュア♪』挿入歌の合唱曲「GARDEN」へ。〈素直にただ咲くだけで 美しいいのち〉を抱きしめるように。純粋で尊い、その想いを伝えつつ、プリキュアシンガーもそれぞれの華を咲かせるように声を重ねていきました。最後は元祖アンサムソングの「シェアして!プリキュア」。カラフルな照明に照らされながらしゃぼん玉が舞い上がり、子どもから大人まで世代を超えて笑顔が広がっていきました。昼公演で芽吹いた花の種が夜公演へと受け継がれていきます。



 

  • 幕開けから大合唱 夜公演ならではの一体感

 

夜公演は初っ端からフル・スロットル。ステージに登場したプリキュアシンガーズは昼公演と同じく「プリキュアー!」の掛け声で円陣を組んだあと、全公演共通のオープニングナンバー「Wonder Flowers プリキュア」で幕開け。すでに昼公演を経ていることもあってか、すぐに会場全体が大きなクラップとシンガロングでひとつに。夜公演ならではの熱狂が加わり、客席を巻き込んでさらに大きなうねりへと変えていきました。MCでは昼公演同様、小さなおともだちに呼びかける場面も。会場のあちこちからかわいらしい声が返ってきて、シンガー陣がキュンとする様子も含めて微笑ましい時間でした。ライブハウスならではの熱狂と、子どもたちやまわりの人たちの笑顔を大切にする優しい空気感が共存できるのが、『プリキュアシンガーズ ライブハウスサーキット』ならではの光景だと思います。



そして、公演ごとに異なるセットリストが組まれることで、毎回新しい驚きと感動に出会えるのも、このツアーの大きな魅力。例えば初日・広島公演では「ラブリンク」や「プリキュア・メモリ」、「たとえどんなに離れていても」など、また大阪公演では「パーティ ハズカム」「パペピプ☆ロマンチック」など、名古屋では「リンクル☆メロディーズ」「明日のみんなへ」などと、各地ごとに特色あるラインナップが組まれ、同じサーキットでありながら全く違う物語が描かれていきました。そして横浜夜公演では、中盤の「HEART GOES ON」以降、セトリがガラリと変化。

池田さんによる「Let’s go!スマイルプリキュア!」(『スマイルプリキュア!』OP主題歌)、工藤さんの「プリキュア5、フル・スロットルGO GO!」(『Yes!プリキュア5GoGo!』OP主題歌)、池田さんの「♯キボウレインボウ♯」(『スイートプリキュア♪』後期ED主題歌)、吉田さんの「満開*スマイル!」(『スマイルプリキュア!』後期ED主題歌)と名曲を畳み掛け、歌に込められた“前へ進む力”で、観客の気持ちをひとつに束ねていきました。なお「♯キボウレインボウ♯」「満開*スマイル!」は横浜夜公演のみの披露。それぞれの曲が始まるたびに客席からは思わず「わっ!」と驚きや喜びの声が上がり、歴代の楽曲たちを子どもたちもノリノリで受け止めていたのが印象的でした。






中盤を締めたのは、全公演で披露された「ガンバランスdeダンス~希望のリレー~」。工藤さんは「このアレンジに私たちがいちばんびっくりしました。バラードを出しちゃうんですか?って。ぜひ原曲も聴いてください、こんなに速かったんだと、私も驚きました」と笑いながらコメントし、そのままMCタイムに。

 

  • プリキュアシンガーたちの初舞台を振り返って

 

熊田さんが「初めてプリキュア楽曲をお友だちの前で歌ったときの思い出を聞いてみたい」と投げかけ、それぞれがデビュー当時を振り返りました。

石井さんは『デリシャスパーティ♡プリキュア』感謝祭でのお披露目を挙げ、「ちはちゃん(吉武さん)がギュッとしてくれたことで頑張れた」と笑顔で語ると、吉田さんのリクエストで当時の場面を再現することに。さらにその後、後本さんの初ステージだった「デリシャスパーティ♡プリキュアLIVE」で吉武さん、Machicoさんがエールを送ってくれた場面を再現。先輩陣が「可愛すぎる!」とはしゃぐ、微笑ましいシーンとなりました。

また、吉武さんの『スター☆トゥインクルプリキュア』でのおひろめショーの思い出に耳を傾けていた吉田さんは、自身の初舞台について「緊張しすぎて覚えていないかも」と振り返ります。その初舞台は『プリキュア プレミアムコンサート2012~オーケストラと遊ぼう~』であったことを明かし「オケにも慣れていない状態で、しかもプリキュアたちがバレエのように舞っていて、私このプリキュアたちと歌うの?」と思ったと述懐。当時その場にいた工藤さんと池田さんも頷きながら懐かしそうに聴き入っていました。工藤さんと池田さんは「おひろめイベントが初ライブ」組 。「あの時もおひろめは大きなイベントだったけど、そこから(キャパシティ的にも)もっとプリキュアは大きくなっていった」としみじみと工藤さん。池田さんが「放送前日に、完全に“はじめまして”の状態で歌った」と回想すると工藤さんが「あの時はかわいかったね」とボソリ。「誰が?」と池田さんが鋭いツッコミを入れる一幕もあり、客席からも笑いが起こりました。

北川さんは『Go!プリンセスプリキュア』のCD発売イベントが初ライブだったそうで、「ものすごく緊張して礒部花凜ちゃんのフォローに助けられた」というエピソードを披露。Machicoさんはプリキュアシンガーに仲間入りした『ヒーリングっど♥プリキュア』時代を振り返り、「コロナ禍でおともだちに会えない日々が続いたので、横浜での野外イベントが自分にとっての初舞台だった」と明かしました。プリキュアシンガーたちがはじめての思い出を素顔で語り合う、ハートフルなひとときとなりました。

 

  • 色とりどりのナンバーで攻めた後半戦

 

後半戦の始まりは「Come on!プリキュアオールスターズ」から。「Shiny Shiny IDOL」、「わんだふるぷりきゅあ!evolution!!」、「ひろがるスカイ!プリキュア ~Hero Girls~」と続いていきます。






このブロックにはMachicoさんの「Viva! Spark!トロピカル~ジュ!プリキュア」(『トロピカル~ジュ!プリキュア』OP主題歌)が挟み込まれ、トロピカルな雰囲気に。そのMachicoさんが“魂のぶつかりあい”と表現したのがロックナンバー「NO PRIDE, NO LIFE!」。昼公演でも名前が挙がっていたレジェンドシンガー・五條真由美さんへのリスペクトを胸に、熊田さんが五條さんのパートを歌い切りました。また、夜公演では、石井さんと後本さんが『わんだふるぷりきゅあ!』後期ED主題歌「しあわせえぼりゅ~しょん♡ ~こむぎ&いろはVer.~」を披露。ステージ上で目を合わせたり、肩を寄せ合ったりと、ふたりのやりとりはまるで“こむぎ”と“いろは”がそこにいるかのよう。






そんな温かさの中で次に届けられたのは、吉武さんによる『ひろがるスカイ!プリキュア』後期ED主題歌「Dear Shine Sky」。オレンジ色の柔らかな照明に包まれ、しっとりとした都会的な響きが昼公演とはまた違う大人びた空気を会場に漂わせます。最後には「明日も良い日になりますように」というおまじないをかけるように伝え、優しい余韻を残すなかでライブはクライマックスへと突入。「CLAP & CHANT!~アイノウタ~」、「All for one Forever」と2曲のライブナンバーで会場の熱気は天井知らずでさらに高まっていきました。ここで最後のMC。あらためて感謝の気持ちを届けます。




 

  • 「この空間が大好きです!」シンガーたちからのメッセージ

 

後本さんは「最高の思い出になりました! プリキュアと、プリキュアソング、プリキュアシンガーとライブハウスサーキットが大好きだなと思いました!」と大きな瞳を輝かせます。



Machicoさんは「こうしていろいろな時代のプリキュアソングをみんなとシェアできる空間、時間があることは決して当たり前ではなく、本当にみんなの応援のおかげだなと思っています。愛は測るものではないけれど、この“プリキュアの愛”をみんなで大きくしていけたらと思っています」と、真摯に語りました。



「……いい話だなあ」としみじみとしつつ北川さん。「みんながぬいぐるみやタオルを掲げて応援してくれる姿を見ると、これまで歴史を紡いできたプリキュアソングの歌手の皆さん、そして作品を作り上げてきたスタッフの方々への尊敬の気持ちが改めて込み上げてきます。私自身もプリキュアのいちファンとして、この大切な作品をこれからも応援し続けていきたいです」とフロアを見つめながらメッセージ。



吉田さんも歴代シンガーやスタッフ、そして作品を支え続けてきた人々への敬意を示しながら「プリキュアには本当にいろいろな曲があって、かわいい曲もあれば、かっこいい曲もある。でもその全部が“プリキュア”なんだなって思うと、今この場所に立てていることがすごく幸せです」と噛みしめるように語りました。



「本当にプリキュアってすごいな」とあらためて実感するように池田さん。「シリーズを超えて、世代を超えて、みんなでシェアして。お客さんもプリキュアのようにどんどん増えていく。本当にプリキュアってすごい。だってハートをキャッチするんですよ。みんなもされているでしょ?(笑)これからも続いて欲しいですし、まだまだ歌っていない曲があるので、またこういう機会があったら嬉しいです」と会場を和ませながら語りました。



工藤さんは“プリキュア魂”について言及。「みんなのプリキュア魂、そしてプリキュアシンガーズのプリキュア魂がこうして受け継がれ、大きくなっているのを実感しています。私はプリキュアからたくさんのパワーをもらってきました。子どもたちはこれからいろいろなことがあるかもしれない。でも辛いことや悲しいことがあっても、プリキュアを見ていれば大丈夫。音楽が笑顔をくれるし、強さをくれる」と、自身もプリキュアソングから力をもらってきたことを明かすと、客席から共感の拍手が寄せられました。そして「出会えたことには必ず意味がある。来年もまたこの歴史をつなぎたい。そのためにはみんなの力、スタッフさんの力が必要です! みんなで盛り上がっていきましょう!」と語尾に力を込めました。



吉武さんはプリキュアソングのパワーを改めて感じたと話します。「プリキュアソングって、私たちシンガーにもたくさんの思い出があるように、みなさん一人ひとりにもそれぞれの大切な思い出があると思います。そのいろいろな“大好き”を抱えて今日こうして会場に来てくださっていて。それを直接シェアできる、この空間が本当に大好きです」と笑顔を見せて、さらに「横浜公演を通して、先輩たちがつないできてくださった想いを強く感じながら歌わせていただきました。その思いを胸に、名古屋も全力で駆け抜けたい」と力強くコメント。



石井さんはその言葉に頷きながら「笑顔で聴いてくれる人、涙を流してくれる人、一緒に歌ってくれる人。それぞれみんなプリキュアソングに大切な思いがあるんだなとすごく感じました。そして、その想いを共有できたことが何より嬉しかったです。全部を宝物にして最後の名古屋へつなげていきたいなと思っています」と未来への意気込みも添えました。



最後は熊田さん。声を震わせながら、〈キミがいるから今私は輝ける〉の歌詞を引用しつつ、“キミ”に対するまっすぐな想いを語ります。「キミの全部を抱きしめたいと思いながら歌ってきましたが、振り返れば初めてだらけの出来事の中で、むしろ私は“キミ”に抱きしめられていたんだと気づきました」と告白。そして「また名古屋でも“ただいまサーキット”と言えるようなひとになれるように頑張ります」と力強く締めくくり、会場は温かな拍手に包まれました。

 

  • 「キミと一緒に大きな花を咲かせられたら」とフィナーレへ

 

そして「まだ帰りたくないですが、最後の2曲です。わたしたちプリキュアシンガーズがひとつに合わさって、キミと一緒に大きな花を咲かせられたらと思います」と呼びかけます。ラストは「GARDEN」と「シェアして!プリキュア」。



プリキュアシンガーズと観客が一緒に歌い、手を振り、笑顔を交わし合うという、プリキュアならではの“キズナ”を感じさせる眩しいフィナーレで、「プリキュア」と、そしてプリキュアソングの未来を感じさせる締めくくりとなりました。昼、夜公演それぞれ24曲と、プリキュア魂を燃やしながら、よくばりなセットリストで駆け抜けた本公演。シンガーたちが口々に「また来年も」と語っていたように、このサーキットはこれからも続いていくはず。来年もまた、ライブハウスでプリキュアソングを分かち合えますように。





Text:逆井マリ
 

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